いらない土地だけの相続放棄はできない?
遠方にあったり、管理が難しかったり、売却が難しい土地については、相続したくないと思う方もいらっしゃるでしょう。そのような場合には、「相続放棄」を検討することが有効な選択肢となります。
相続放棄をすると、すべての遺産を相続しないという意思表示をすることになります。これにより、遺産分割協議に参加する必要がなくなり、被相続人が残した債務の支払い義務もなくなります。ただし、「土地だけを放棄する」という選択はできないため、たとえば田舎の土地を放棄して都市部のマンションだけを相続することはできません。
土地を相続放棄するメリットとデメリット
土地を含むすべての遺産を相続放棄することには、メリットとデメリットの両方があります。どちらがあなたにとって最善かは、よく比較して決めることが大切です。
土地を相続放棄するメリット
メリット①土地の管理から解放される遠方や山間部など、管理が難しい土地の面倒を見なくて済むようになります。ただし、相続放棄をした場合でも、放棄の時点でその土地を持っている場合には、他の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで保存する義務があります。
メリット②借金などの負債を相続しなくて済む被相続人の債務を相続せずに済むため、財産全体の価値がマイナスの場合でも安心です。
メリット③遺産分割協議への参加が不要相続放棄をすれば、遺産分割の話し合いに参加する必要がなくなり、相続に関わりたくない方にとってはストレスが減ります。
土地を相続放棄するデメリット
デメリット①他の遺産も相続できなくなる土地以外に価値がある財産があっても、その遺産を相続することができなくなります。
デメリット②相続権が他の相続人に移動する可能性がある同順位の相続人がいなくなると、後順位の相続人に相続権が移ることがあります。これにより、関係性の薄い人とのトラブルが生じる可能性が高まります。
相続放棄後の土地の保存義務
相続放棄をしても、その時点で土地を占有している場合は、その土地を丁寧に保存する義務があります(民法940条)。これは、土地を他の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで続きます。
保存義務の具体的な内容は以下のとおりです
- 故意や重大な過失で土地が損傷しないようにする。
- 他の相続人または相続財産清算人からの請求に応じて、土地の状態を報告する。
- 土地を引き渡した後も、保存の経過と結果をすぐに報告する。
- 保存中に得た収入(地代など)を他の相続人や清算人に引き渡す。
- 自分の名義で取得した権利を他の相続人や清算人に移転する。
また、土地の保存にかかった費用については、他の相続人や相続財産清算人に償還を請求することも可能です(民法650条)。
相続放棄は、状況に応じて非常に有効な選択肢ですが、すべての要素を考慮したうえで判断しましょう。
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