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兄弟が親の介護をしてくれない!遺産を多く相続するための対策を弁護士が解説

「私は元気なままでポッと逝くんだから」と宣言する方がいます。最後の瞬間まで活発に過ごし、静かに人生を終えたいと願う人は多いでしょう。しかし、現実はそれほど簡単ではありません。長寿大国である日本では、介護を必要とする状態になってから亡くなる方が増えています。そのため、介護を経ての相続には、トラブルが発生しやすいのです。

1.親を介護した人が相続で多くの財産をもらえるという明確な法律は存在しない

Aさんという方からこんな相談を受けました。「私が父親の介護を担当していたのに、兄と妹はほとんど顔を出さず、今になって『財産は法定相続分通りに分けよう』と言い出したんです。介護をしてきた私が多く相続できる法律はないのでしょうか?」

Aさんは50代の独身で、姉と弟がいますが、姉は結婚して夫の両親と同居、弟は賃貸マンションで妻と二人暮らしをしています。残念ながら、介護をした人が相続で多くの財産を得られるという明確な法律は存在しないのです。

1-1. 寄与分は他の相続人に認められる必要がある

介護した分だけ多くの財産をもらえるという考え方は、「寄与分」という制度に基づいています。寄与分とは、被相続人(亡くなった方)の財産の維持または増加に「特別の寄与」をした人が、その貢献度に応じて相続財産を上乗せしてもらう仕組みです。

「特別の寄与」とは、「無償で介護を行った」「介護によって財産の維持または増加に貢献した」「その貢献が相続財産を多くもらうに値する」という要件を満たしている必要があります。しかし、これらの要件を満たしているかどうかは、他の相続人(Aさんの場合は姉と弟)に認めてもらわなければなりません。もし認められなければ、多くの遺産を得ることは難しいのです。

1-2. 親の介護をめぐる相続は、兄弟間でトラブルが起きやすい

Aさんが「介護をした分だけ多くの相続を受けたい」と考えるなら、姉と弟が「寄与分」を認める必要があります。

姉と弟の言い分は次のようなものでした。「父が倒れた時、Aが『会社を辞めて父の面倒をみる』と言ってくれて安心しました。でも、父は全く動けなかったわけではなく、デイサービスも利用していたので、Aが言うほど大変だったとは思えません。Aは親に頼って生活していたのだから、貯金も多く持っているはずです。私たちは独立後、親に援助してもらったことはありません。だから、法定相続分通りに分けるのが公平だと考えています。」

Aさんはずっと自宅で親と同居していましたが、3年前に母親が他界し、1年前に父親が倒れて介護が必要になりました。

1-3. 裁判所で寄与分が認められるハードルは高く、金額も期待できない

他の相続人にとって、寄与分を認めることは自分の相続分が減ることを意味するため、簡単には認めてもらえません。Aさんと姉弟が話し合いで解決できなければ、家庭裁判所に申し立てを行い、調停に進むことになります。それでも解決しない場合は、裁判になります。

裁判で寄与分が認められるためのハードルは高く、「親族として通常期待される範囲を超えた貢献」が求められます。例えば「介護に専念し、無償で親の家業を手伝った」などの証拠が必要です。

さらに、裁判で寄与分が認められたとしても、期待するほどの金額は得られないことが多いです。例えば、重度の認知症を抱える親を10年以上介護した場合でも、裁判所が認めた寄与分は1日あたり数千円程度にとどまるケースもあります。

令和元年(2019年)の相続法改正により、相続人以外の親族(例:長男の妻)が無償で被相続人の療養看護を行った場合にも、相続人に対して「特別寄与料」を請求できる制度が導入されましたが、考え方は「寄与分」と同様です。

介護をしてきた子供と、介護をしなかった子供では、遺産分割をめぐってトラブルが生じやすいものです。事前に対策を講じたい方や、既に問題が発生している方は、弁護士に相談することをお勧めします。

2.介護した分、遺産を多くもらうための方法

Aさんのケースを通じて、どう感じましたか?どちらの言い分にも一理あると感じるのではないでしょうか。このような場合、話し合いで財産の分け方を決めるのは非常に難しいことがわかります。

このケースで問題なのは、Aさんが介護を引き受ける時に「相続でどのくらい多くもらうのか」を明確にしていなかったことと、その約束を口頭で済ませてしまったことです。

2-1. 遺言書を書いてもらう

「介護」という大変な仕事を引き受ける以上、相続において自分の権利を守るためには、具体的な財産の分け方を記した遺言書を父親に書いてもらうべきでした。遺言書があれば、基本的にはその内容通りに遺産が分割されるため、後から兄弟が異議を唱えることはできません。

父親に遺言書の作成を求めるのは気が引けるかもしれませんが、Aさんのように事態がこじれてしまうと、兄弟との関係が悪化する可能性があります。Aさんにとって、それは今後の孤立を意味するかもしれません。それを避けるためにも、「親の責任として遺言書を書いてほしい」と主張することができたかもしれません。

2-2. 生前贈与してもらう

父親の生前に財産の一部を贈与してもらい、特別受益の持ち戻し免除の意思表示をしてもらうことで、Aさんはより多くの財産を得ることが可能でした。

生前贈与を受けた財産は、遺産分割協議の際に「前渡し分」として考慮されることになりますが、「特別受益の持ち戻し」を免除する意思表示があれば、相続とは切り離して財産を受け取ることができます。

2-3. 負担付死因贈与契約を結ぶ

負担付死因贈与契約とは、例えば「介護を引き受ける代わりに財産を贈与する」といった条件付きの贈与契約です。この契約を結んでおけば、介護が前提とされ、父親にとっても安心です。また、遺言書と異なり、Aさんの同意なしに契約内容を変更することはできないため、Aさんにとっても安心です。

ただし、死因贈与契約は通常の相続と比べて不動産取得税や登録免許税が高くなる可能性があることを覚えておいてください。

3.介護する家族でもめやすいのが「通帳の管理」

介護に関するトラブルとして、よく問題になるのが「通帳の管理」です。介護をしている人が、通帳から現金を引き出し、生活費や介護費用を管理することになります。しかし、それが「親の金を勝手に使った」と疑われることもあります。

そうした事態を避けるために、介護専用の通帳を作成し、何に使ったかを明確に管理することが、円満な相続のために重要です。

4.まとめ 介護を巡って相続で争いが生じたら、弁護士に相談を

介護をしてきた人と、していない人では、負担の感じ方が異なります。Aさん一家のケースは決して特別ではなく、同じような事例は多く存在します。介護を経て、遺産争いにまで発展することは避けたいものです。そのためには、早めに弁護士などの専門家に相談することが重要です。

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