家族信託とは
「家族信託」の主なメリット
- 意思能力の低下に備えたい方
- ご自身やご家族の意思能力が低下した場合にも、資産の管理・処分・運用を家族が継続して行えるようにしたい方。
- 中長期にわたる資産承継対策を計画し、その途中で意思能力が低下しても当初の計画を継続できるようにしたい方。
- 介護費用や不動産処分の備え
- 介護に必要な費用を資産の処分で捻出したい方や、介護施設入居後の自宅管理を家族に任せたい方。
- 親族共有名義の不動産の処分を検討しているが、将来的なトラブルを避けたい方。
- 成年後見制度との兼ね合いを考える方
- 意思能力が失われた後に成年後見制度の利用を考えているが、手続きや事務負担を軽減する方法を探している方。
- 遺言に代わる資産承継を検討したい方
- 相続発生時の資産凍結期間を短くしたい方や、生前に遺産分割の合意を法律的に有効な形で残しておきたい方。
- 二次相続以降の資産承継を考える方
- ご自身に子供がいないため、妻(配偶者)の死後、資産を甥や姪など指定する人物に引き継がせたい方。
- 子が障がい者である場合、親が亡くなった後に資産の分配先を世話になった施設などに指定しておきたい方。
- 円満な事業承継を目指す方
- 特定の子に事業を承継させたいが、他の兄弟との遺留分の調整が必要な方。
- 事業承継のタイミングを見計らいながら、経営権を譲る準備をしておきたい方。
「家族信託」のデメリット
1. 身上監護には成年後見制度が必要
家族信託は、財産管理に特化した制度であり、身上監護の権限を持っていません。そのため、親が認知症になって施設に入居する際、受託者である子どもが親の代理人として入居契約を行うことはできません。身上監護を考える場合は、任意後見契約を結ぶことをおすすめします。この契約では、あらかじめ子どもや信頼できる人を後見人に指定しておくことができます。
2. 受託者が見つからない場合がある
家族信託の受託者を引き受けることを誰も望まない場合、信託が成立しない可能性があります。特に建物が信託財産の場合、受託者にはその建物の管理義務が生じます。万が一、老朽化した建物で事故が起こった場合、損害賠償の責任を負う可能性があり、その額が信託財産を超える場合には自身の財産から賠償しなければなりません。また、固定資産税の支払い義務や、受益者への財産状況の報告義務も発生します。このように、受託者の責任が重いため、引き受け手が見つからないことがあります。
3. 親族間の不公平感を生む恐れ
家族信託で一人の子どもを受託者に指定した場合、他の子どもに相談せずに進めてしまうと、知らなかった子どもが不満を抱く可能性があります。受託者は信託財産に大きな権限を持つため、財産管理が透明でないと、他の家族からお金の使い込みを疑われ、家族間の争いに発展することがあります。これを防ぐためには、事前に家族会議を開いておくことが重要です。
4. 祖父母や両親の同意が得にくい場合がある
家族信託の主役は祖父母や両親ですので、彼らの同意なしに進めることはできません。しかし、家族信託が理解しにくい制度であるため、「よくわからない」「面倒そうだからやりたくない」と言われ、同意を得られない場合があります。また、財産の名義が受託者に変更されるため、不動産を奪われるのではないかという不安を感じ、同意が得られないこともあります。
5. 直接的な節税効果がない
家族信託には、相続税を節税する効果はありません。不動産の名義が子どもに変わっても、財産権(受益権)は親に残るため、財産の評価を下げることはできません。相続が発生した際には、財産権(受益権)が信託契約で指定された人に承継され、その際に相続税と同じ税額を納付する必要があります。
6. 遺留分侵害額請求のリスク
家族信託契約で後継者に財産権(受益権)を承継する際、他の相続人が遺留分侵害額請求を行う可能性があります。遺留分の請求は、家族関係を悪化させる可能性があるため、事前に家族会議を開いたり、遺留分が発生しないように設計するなど、トラブルを未然に防ぐ工夫が重要です。
家族信託を検討する際に整理しておくこと
家族信託制度は、重要な「資産」と「想い」を信頼できる家族に託す制度です。この制度を検討する際には、以下の点を整理しておくことが推奨されます。
- 信託する財産の特定(信託財産)
- 保有資産のうち、どの財産を信託財産として託すかを決める必要があります。全資産でも一部でも構いません。
- 受託者の選定
- 信託契約には「信頼できる受託者」が不可欠です。専門知識の有無よりも、委託者の想いを理解し、誠実に取り組む人物であることが重要です。
- 信託契約の目的の明確化
- 信託契約を結ぶ結果、誰にどのような利益をもたらしたいのかを明確にしておくことが大切です。受託者はこの目的に基づいて財産の管理処分を行うため、目的の明確化が非常に重要です。
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