遺産分割のトラブル
- 遺産分割の交渉
- 家庭裁判所の調停・審判
- 遺産の使い込み・横領の疑い
- 不公平な遺言書に対する対処
- 遺留分侵害額請求
- 共有不動産の分割・売却サポート
- 調停・審判の代理人
遺産分割の交渉
遺産分割の話し合いは、家族間の交渉でありながら、時に最も感情的な対立を生む場面でもあります。
例えば、亡くなった父が生前「長男には自宅を譲る」と話していたとします。しかし、それが正式な遺言として残されていなかった場合、他の相続人が納得しないこともあります。「そんな話、聞いたことがない」「お父さんがそんなことを言うはずがない」と主張され、話し合いが膠着するケースは珍しくありません。
このような場合、まずは法律に基づいた冷静な交渉を行うことが重要です。交渉の場では、ただ「私が正しい」と主張するのではなく、「法律上こうなっている」「このような前例がある」と具体的な根拠を示すことが有効です。
また、感情面も無視できません。例えば「私は母の介護をしてきたのに、相続で平等に分けるのは納得できない」という主張には、法律だけでは解決できない背景があります。こうした場合には、特別寄与の主張を検討したり、他の財産で調整する方法を模索したりすることが重要になります。
弁護士が介入することで、冷静で公平な話し合いを進めることができ、最終的に納得感のある解決へと導くことが可能です。
家庭裁判所の調停・審判
話し合いがまとまらなかった場合、多くのケースでは家庭裁判所の調停に進みます。調停は、裁判官と調停委員という第三者が間に入り、双方の言い分を整理しながら合意を目指す手続きです。
例えば、ある姉妹が父の遺産を巡って対立していたとします。姉は「実家を売って公平に分けるべき」と主張し、妹は「実家を守りたい」と譲りません。このような対立が続くと、感情的になり、直接話し合うことが難しくなります。
調停では、調停委員が「なぜ実家を守りたいのか?」「公平に分ける方法として他に選択肢はないか?」といった点を整理し、冷静に話し合う場を作ります。そして、お互いが納得できる形での解決を目指します。
もし調停でも合意できなければ、最終的に審判に移行し、裁判官が判断を下すことになります。審判は裁判に近い形式となるため、法的な主張を整理し、証拠をそろえることが重要になります。
遺産の使い込み・横領の疑い
「兄が勝手に父の預金を使い込んでいた」「母の死亡後、妹が通帳を管理していたが残高が激減している」といった遺産の使い込み問題は、遺産分割のトラブルの中でも特に感情的な対立を生みやすい問題です。
例えば、父が亡くなり、遺産分割の話し合いをしようとしたところ、長男が「父の預金はほとんど残っていない」と主張。調べてみると、父の生前に長男の口座に多額の送金がされていたことが判明しました。
このようなケースでは、まずどのような名目でお金が移動したのかを確認する必要があります。
- 生前贈与として正当に渡されたものなのか?
- 介護費用や生活費として使われたのか?
- 単なる使い込みなのか?
銀行の取引履歴、送金記録、税務申告の有無などを調べることで、使い込みがあったかどうかを明らかにできます。もし不正に取得した証拠があれば、法的に返還を求めることが可能です。
不公平な遺言書に対する対処
「父の遺言書を見たら、すべての財産を次男に相続させると書かれていた。こんなの納得できない!」
こうしたケースでは、遺言書が法的に有効かどうかをまず確認することが重要です。例えば、
- 遺言書の作成時に認知症だった→無効になる可能性がある
- 特定の相続人に強要されて書かれた→無効の主張ができる
- 法的に必要な形式を満たしていない→無効になる可能性がある
特に、高齢者の認知症が進行している時期に作成された遺言書は、無効を争うケースが多くあります。医療記録や診断書を確認し、遺言書作成時の状況を調査することで、有効性を判断できます。
また、遺言でがあったとしても、相続人には一定の財産を受け取れる権利があり、それを遺留分と呼びます。
そして、遺留分を相手側に請求することも可能です。以下で説明します。
遺留分侵害額請求
たとえ遺言書が有効であっても、最低限の取り分(遺留分)は保証されています。たとえば、
- 亡くなった父が「全財産を内縁の妻に相続させる」と遺言していた場合でも、子どもには遺留分が認められるため、一部を請求できる。
- 兄だけに遺産を渡す内容の遺言書でも、弟には遺留分があるため、法的に取り戻せる。
遺留分侵害額請求は相続開始から1年以内に行わなければならないため、早めの対応が必要です。
共有不動産の分割・売却サポート
相続で特に厄介なのが不動産の共有です。例えば、兄弟3人が父の家を相続し、「売りたい長男」と「住み続けたい次男」で意見が割れることがあります。
こうした場合、解決策として以下の方法があります。
- 共有者の一人が他の相続人の持分を買い取る
- 売却し、現金で分ける
- 不動産を賃貸に出して収益を分ける
話し合いがまとまらない場合、共有物分割請求訴訟を起こし、裁判所に分割方法を決めてもらうことも可能です。
調停・審判の代理人
調停や審判では、法的な主張をしっかり整理し、相手の主張に適切に反論することが求められます。
例えば、
- 「兄が親の面倒を見ていたから遺産の大部分をもらうべき」という主張に対し、どの程度の寄与分があるのか具体的に示させる
- 「母が生前、私に全財産を渡すと言っていた」という発言に対し、証拠がなければ法的には認められないことを主張する
感情的な争いが激化すると、冷静に自分の権利を主張するのが難しくなります。弁護士が代理人として対応することで、法律に基づいた適切な解決を導くことができます。