養子縁組の相続トラブル5選:対策を解説します
養子縁組とは|主な目的と代表的なトラブル
養子縁組とは、もともと親子関係にない個人同士が法律上の親子関係を築く制度です。
養子縁組による法律効果
養子縁組を行うと、養子と養親の間に直系血族と同様の親族関係が生じ(民法第727条)、以下のような法律効果が発生します:
- 養子は原則として養親の姓を名乗る(民法第810条)
- 養子が未成年の場合、養親に親権が発生する(民法第818条第2項)
- 養親と養子の間に扶養義務が発生する(民法第877条第1項)
- 養子は養親の相続権を取得する(民法第887条第1項)
養子縁組の主なパターン
養子縁組は、以下のような目的や状況で行われることが多いです:
- 孫を養子とする
- 子どもの配偶者(嫁・婿)と養子縁組をする
- 配偶者の連れ子を養子とする
- 同性パートナーと養子縁組をする
- 節税を目的として養子縁組をする
養子縁組に関連する代表的な相続トラブル
養子縁組により相続人の人数が増えることで、実子の相続分が減少し、不満を持った実子との間でトラブルが発生することがあります。
相続対策として養子縁組を行う場合は、事前に実子や他の相続人の理解を得ることが重要です。
以下では、養子縁組の具体的なパターンごとに、発生しやすいトラブルと対処法を解説します。
1. 孫を養子にした場合の相続トラブル
孫を養子とするケースは、「孫に相続権を与えたい」という理由で行われることが一般的です。養子縁組により孫は実子と同じ相続権を得ますが、以下のリスクに注意が必要です:
- 相続税の加算
被相続人の孫が養子として相続する場合、相続税が2割加算されるため、想定以上の税負担が発生する可能性があります。
対策: 生前に税理士と相談し、相続税額のシミュレーションを行いましょう。
2. 子どもの配偶者と養子縁組をした場合のトラブル
家や事業を継がせる目的で、子どもの配偶者と養子縁組をするケースがあります。
- 離婚後の相続権の問題
養子縁組後に子どもが離婚した場合でも、養子縁組による相続権は残るため、不要なトラブルが発生する可能性があります。
対策: 養子縁組を解消するには離縁手続きが必要です(民法第811条以下)。手続きがスムーズに進むか慎重に検討しましょう。
3. 配偶者の連れ子と養子縁組をした場合のトラブル
連れ子との養子縁組は、絆を深める目的や扶養関係を形成するために行われますが、以下のリスクが考えられます:
- 離婚時の離縁問題
離婚後も法律上の親子関係を解消するには離縁手続きが必要であり、関係性が悪化している場合、手続きが困難になる可能性があります。
対策: 養子縁組のメリットとデメリットを事前に十分検討しましょう。
4. 同性パートナーと養子縁組をした場合のトラブル
同性婚が認められていない日本では、養子縁組を通じて相続権を確保するケースがありますが、以下の課題があります:
- 他の相続人との関係
LGBTへの理解不足から、遺産分割協議が紛糾する可能性があります。
対策: 他の相続人に十分な説明を行い、相互理解を深める努力が必要です。
また、将来的に同性婚が認められた場合、養子縁組のままでは結婚できないため(民法第734条第1項)、留意が必要です。
5. 節税目的の養子縁組におけるトラブル
相続税対策として養子縁組を行うケースでは、以下の制約に注意が必要です:
- 基礎控除の上限
養子の人数による基礎控除の増額には上限があります。- 実子がいる場合:養子1人まで
- 実子がいない場合:養子2人まで
- 無効リスク
節税目的のみで親子関係を築く意思がない場合、養子縁組が無効とされる可能性があります。
対策: 節税のみに頼らず、総合的な相続対策を講じましょう。
まとめ|養子縁組を検討する際は弁護士に相談を
相続対策として養子縁組を行う場合、他の相続人との事前調整が重要です。
安易な養子縁組は深刻なトラブルを招く可能性があるため、慎重な判断と弁護士への相談をお勧めします。
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