代襲相続とは、被相続人（故人）が亡くなった時点で本来相続人となる人がすでに亡くなっている場合、その人の代わりに遺産を受け継ぐ権利を引き継ぐことをいいます。
たとえば、被相続人の子が先に亡くなっている場合、その子供（被相続人の孫）が代襲相続人となり、相続の権利を承継します。
ただし、遺産相続や代襲相続のルールは複雑で、スムーズに進まなかったり、代襲相続人としての権利をよく理解せずにトラブルが起こるケースもあります。本記事では、代襲相続に関連するトラブル事例やその解決策、トラブルを未然に防ぐポイントについて解説します。
代襲相続で起こりやすいトラブル例 8選
代襲相続ではさまざまなトラブルが発生することがあります。以下に代表的な事例を紹介します。
1. 不利な遺産分割協議書への強制的な署名
一部の相続人が、自分に有利な内容で遺産分割を進めるために、代襲相続人へ強引に署名を求めるケースがあります。相続人全員の合意があれば法定相続分を変更することも可能なため、代襲相続人が不利な立場に追い込まれることがあります。
2. 代襲相続人を無視して協議を進める
代襲相続人を意図的に排除し、遺産分割協議を進める例も見られます。また、遺産の詳細を開示せず、不利な状況を作り出すこともあります。
3. 代襲相続人が非協力的で手続きが進まない
代襲相続人が被相続人と疎遠である場合、手続きに非協力的な態度を取ることがあります。全員の同意が必要な遺産分割協議が進まない原因になることがあります。
4. 財産隠し
代襲相続を快く思わない相続人が、財産を隠して遺産分割を不公平にすることがあります。財産調査に多大な労力と時間がかかる場合があります。
5. 生前貢献への理解不足
代襲相続人が、被相続人への生前の貢献（介護や財産管理など）を正しく理解せず、不公平感を抱いてしまうケースがあります。これが原因で協議が長引くこともあります。
6. 代襲相続人との連絡が取れない
被相続人や相続人と疎遠だった代襲相続人の連絡先がわからず、協議が進まない場合があります。
7. 借金の押し付け合い
被相続人に借金があった場合、代襲相続人が意図せずその負債を抱えるケースがあります。相続放棄の手続きが遅れると問題が深刻化します。
8. 借金を知らない代襲相続人が負担する
代襲相続人が被相続人の負債を把握しておらず、意図せず負債を相続してしまうことがあります。
トラブルを防ぐ4つの方法
●財産目録と遺言書の作成
被相続人が生前に財産目録と遺言書を準備しておくことで、遺産内容を明確にし、協議の手間を減らすことができます。
●生前のコミュニケーション
代襲相続人やほかの相続人と被相続人が、普段から情報共有し、連絡手段を確保しておくことが重要です。
●相続廃除の活用
特定の代襲相続人に相続させたくない事情がある場合、被相続人が生前に手続きを行うことで相続権を排除することが可能です。
●遺贈や死因贈与で財産を減らす
財産を事前に整理し、遺贈や贈与を活用して相続トラブルを減らすことも有効です。
トラブル発生時の対応ポイント
●法的権利を理解する
代襲相続人の権利を正しく理解し、尊重することで協議をスムーズに進めましょう。
●遺産内容の共有
財産目録を用意して、相続人全員に遺産の全容を共有することが重要です。
●慎重な署名
遺産分割協議書に署名する際は、内容を十分に確認し、納得してからサインするようにしましょう。
●専門家への相談
弁護士に相談することで法的アドバイスを受けられ、適切な手続きを進めることが可能です。
弁護士に相談するメリット
●法的知識を活用した最適なアドバイス
●中立的な立場での協議サポート
●相続手続きの一括代行
代襲相続は複雑な問題を抱えることが多いため、トラブルを未然に防ぐ対策や、問題が発生した場合の専門家への早期相談が重要です。
