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相続人に障害者がいる場合の遺産相続について

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相続人に障害者がいるときの遺産相続の進め方と注意点

家族が亡くなった際、相続人の間で遺産分割を行いますが、相続人に知的障害者がいる場合には、遺産分割を進める前に成年後見制度の利用を検討することが重要です。成年後見制度を通じて、障害者の財産管理や相続手続きを適切に進められるようにすることができます。

また、相続税の障害者控除も活用できる場合があります。一定の要件を満たす精神障害者や身体障害者には、相続税の負担が軽減される特別な控除が適用されます。

遺産相続が発生したら、法律や税制に基づいて適切に遺産分割を行うため、早めに弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。このコラムでは、相続人の中に障害者がいる場合の遺産分割について、知っておくべきポイントを解説します。

相続人に障害者がいるときの遺産分割

相続人の中に障害者がいる場合、その障害の内容や状態に応じて、遺産分割の前に成年後見人の選任を申立てる必要が生じることがあります。

 成年後見制度の種類・手続き・費用

相続人に知的障害者がいる場合、遺産分割に先立って成年後見制度の利用が必要になることがあります。ここでは、成年後見制度の種類、手続き、費用について紹介します。

成年後見制度の種類:成年後見・保佐・補助
成年後見制度は、判断能力が低下した人を法律行為のサポートをするために選任される制度です。知的障害者が相続人となる場合には、次の3種類の制度が利用できます。

① 成年後見
対象者: 精神的な障害により、物事の良し悪しを判断できない(事理弁識能力を欠く)状態にある人が対象です(民法第7条)。
効果: 成年後見人が選任され、本人の法律行為(例えば、財産の売買契約など)は取り消すことが可能です(民法第9条)。また、成年後見人には、本人を代理して法律行為を行う権限が与えられます。

② 保佐
対象者: 精神的な障害により、物事の良し悪しを判断する能力が著しく不十分な人が対象です(民法第11条)。
効果: 保佐人が選任され、重要な法律行為を行う際には保佐人の同意が必要となります(民法第13条第1項)。同意なしに行った行為は取り消すことができます(同条第4項)。

③ 補助
対象者: 精神的な障害により、物事の良し悪しを判断する能力が不十分な人が対象です(民法第15条第1項)。
効果: 本人が補助開始を同意した場合、補助人が選任され、特定の法律行為について補助人の同意が必要になります(民法第17条第1項)。同意がない行為は取り消しが可能です(同条第4項)。

判断能力に応じた対応
成年後見: 本人が意思無能力に至った場合は、遺産分割前に家庭裁判所に後見開始の申立てを行い、後見人を選任する必要があります。
保佐・補助: 本人が意思無能力の状態に至っていない場合は、判断能力に応じて保佐または補助の申立てを検討し、適切なサポートを受けられるようにしましょう。

次に、成年後見制度を利用する手続きや費用について説明します。

成年後見制度を利用する手続きの流れ

成年後見制度を利用する際の手続きは、以下のような流れで進みます。

① 裁判所に対する申立て
成年後見・保佐・補助のいずれかを選択して、本人の住所地の家庭裁判所に申立てを行います。申立ての際には、成年後見人・保佐人・補助人の候補者を推薦できます。
<申立ての必要書類>
・申立書
・申立手数料
・登記手数料
・郵便切手
・戸籍謄本、住民票
・成年後見に関する登記事項証明書
・診断書
② 家庭裁判所による調査等

申立てを受理した家庭裁判所は、本人に対する質問や鑑定などを通じて、成年後見・保佐・補助の開始要件を満たしているかどうかを判断します。
また、成年後見人・保佐人・補助人の候補者について、本人の親族に対する意見聴取などを通じて、適任であるか否かを判断します。

③ 後見開始・保佐開始・補助開始の審判
成年後見・保佐・補助の開始要件を満たしていると判断した場合、家庭裁判所は後見開始・保佐開始・補助開始の各審判を行います。
審判において、成年後見人・保佐人・補助人が選任されます。申立人の推薦は参考とされますが、推薦された人とは別の人が選任される場合もあります。

成年後見制度を利用する際の費用

成年後見制度を利用するために、家庭裁判所に成年後見・保佐・補助の開始を申立てる際には、以下の費用が発生します。

申立にかかる費用
・申立手数料: 800円
(※ 保佐人・補助人に代理権または同意権の付与を申立てる場合、1件ごとに800円が追加)
・登記手数料: 2,600円
・連絡用の郵便切手: 数千円程度
・鑑定料: 数万円程度(鑑定が必要な場合のみ)

専門家報酬
弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人、保佐人、補助人に就任する場合には、1か月あたり2万円から6万円程度の報酬が発生します。報酬額は家庭裁判所がケースに応じて決定します。

成年後見制度の利用にはこれらの費用がかかるため、早めに計画を立て、必要な手続きを進めることが大切です。

相続税の「障害者控除」とは

相続税の障害者控除は、85歳未満の障害者である相続人が相続税の負担を軽減できる制度です。以下で、障害者控除の対象者と控除額について説明します。

障害者控除を受けられる人
障害者控除を受けられるためには、以下のすべての要件を満たす必要があります。

  • 相続や遺贈によって財産を取得した時点で、日本国内に住所があること
    (ただし、一時居住者であり被相続人が外国人または非居住者である場合は除く)
  • 相続や遺贈によって財産を取得した時点で、障害者であること
  • 法定相続人であること
    (相続放棄があっても、それがなかったものとして扱われる)

障害者控除の額
障害者控除額は、障害者が満85歳になるまでの年数に応じて決まります。

  • 1年につき10万円の控除を受けることができます。(1年未満の期間は切り上げ)
  • 特別障害者(重度障害者)である場合は、1年につき20万円の控除が適用されます。

【例】
相続開始時に障害者である相続人が60歳6カ月の場合、
・障害者控除額は250万円(85歳までの25年×10万円)
・特別障害者の場合は500万円(25年×20万円)
この控除を適用することで、相続税の負担を大幅に軽減することができます。

遺産相続・相続税については弁護士に相談を

遺産相続の手続きや相続税については、弁護士に相談することが有効です。弁護士は相続人間の調整を行い、スムーズに遺産分割を進めるだけでなく、名義変更などの複雑な手続きも代行できます。

また、相続人同士で遺産分割に関するトラブルが発生した場合、弁護士に依頼すれば、協議・調停・審判を通じて迅速かつ適切な解決を図ることが可能です。

知的障害者が相続人の場合、判断能力の程度に応じて遺産分割に先立ち成年後見制度の利用を検討することが重要です。遺産分割や成年後見制度の利用、相続税の対策については、専門家である弁護士に相談することで、安心して手続きを進めることができます。

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