一人っ子相続で注意すべきポイントを弁護士が解説!
このコンテンツで得られること
- 一人っ子と兄弟がいる場合の相続の違い
- 一人っ子が相続する際のメリット・デメリット
- 一人っ子が行う相続手続きの流れと必要書類
- 一人っ子が相続人のときにすべき対策
- 一人っ子が相続する際の注意点
一人っ子が親の遺産を相続する場合、兄弟姉妹と財産を分ける必要がないため、相続トラブルは発生しにくいでしょう。しかし、一人っ子の場合、相続税の負担が重くなることが多く、親の財産をすべて相続しても、結果的に手元に残る財産が少なくなるケースもあります。また、同じ立場で協力できる兄弟姉妹がいないため、万が一トラブルが発生した際には、自分一人で対応しなければならないこともあります。
本記事では、一人っ子が相続する際のメリット・デメリットや、スムーズな相続のためのポイントについてわかりやすく説明します。
一人っ子と兄弟がいる場合の相続の違い
一人っ子の相続と兄弟姉妹がいる相続には、基本的な手続きに大きな違いはありません。異なるのは、相続人の構成や人数です。単独で手続きを進めるか、兄弟と協力して進めるかという点が異なるだけです。
兄弟姉妹がいる場合、遺産分割協議を行う必要があるため、相続手続きにおいてお互いの意見が対立したり、協力がスムーズに進まないことがあります。一方、一人っ子の場合は自分一人で意思決定ができるため、相続手続きを円滑に進めやすいという特徴があります。
一人っ子が財産を相続するメリット・デメリット
一人っ子が親の財産を相続する場合、以下のようなメリットとデメリットがあります。特に相続税が発生する場合、高額な財産を相続する際には注意が必要です。
メリット
-
相続トラブルが起きにくい
一人っ子は相続する際、兄弟姉妹との争いがないため、トラブルに発展する可能性が低くなります。
-
相続手続きがスムーズに進む
一人っ子の場合、他の相続人と協議する必要がないため、相続手続きを自分のペースで進めることができます。
例えば、父親が亡くなり母親と一人っ子が相続人となるケースでは、相続人が2人だけなので遺産分割協議がまとまりやすくなります。母親が亡くなった際には、一人っ子だけが相続人となるため、協議の必要はなく、手続きも迅速に進められます。また、他の相続人の意向を気にすることなく、預金解約や名義変更などもスムーズに行えます。
デメリット
-
1人で相続手続きに対応しなければならない
一人っ子の場合、相続財産の調査や各種手続きをすべて1人で対応する必要があります。サポートがない分、負担が大きくなることがあります。
-
親とのトラブルが発生した場合の解決が困難
もし親との間で遺産分配に関する意見の食い違いが生じた場合、他の相続人がいないため、感情的な問題も含めて解決が難しくなることがあります。
-
相続税が高額になりやすい
法定相続人の数が少ない場合、相続税の基礎控除額が減るため、税負担が重くなることがあります。相続税の基礎控除額は以下の式で計算されます。
相続税の基礎控除額
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
一人っ子の場合、基礎控除額は3,600万円ですが、例えば兄弟が2人いる場合は基礎控除額が4,200万円となり、税負担が軽くなる可能性があります。このため、兄弟がいる場合の方が相続税対策が有利になることもあります。
一人っ子が相続手続きを進める流れと必要書類
一人っ子が親の遺産を相続する際は、次の手順で手続きを進めます。すべての手続きを1人で行うため、特に相続税申告の期限に注意することが重要です。
1. 遺言書の有無を確認する
相続が発生した場合、まず最初に遺言書の有無を確認しましょう。遺言書があると、法定相続人以外の人が財産を受け取る場合があり、一人っ子がすべてを相続するとは限りません。
遺言書には次の3種類があり、それぞれ保管場所が異なります。
- 自筆証書遺言:自宅や法務局に保管
- 公正証書遺言:自宅や公証役場に保管
- 秘密証書遺言:自宅や公証役場に保管
特に、自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。検認前に勝手に開封すると、5万円以下の過料を科される可能性があるため注意が必要です。
2. 相続人を調査する
相続手続きを行う際には、まず相続人の調査が必要です。そのために、以下の戸籍謄本を取得しましょう。
- 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本・除籍謄本
- 自分自身の現在の戸籍謄本
これらは、多くの相続手続きで必要となる書類です。一人っ子の場合でも、すべての戸籍を取得する必要があります。
3. 相続財産を調査する
次に、相続財産の調査を行い、相続税が発生するかどうかを確認します。相続税の課税価格は、以下の式で計算されます。
相続税の課税価格 = 遺産総額 -(基礎控除 + 負債 + 葬儀費用)
現金や預金、不動産だけでなく、借金や葬儀費用も含めて正確に把握することが大切です。場合によっては、相続放棄を選択することも可能ですが、その期限は相続開始から3カ月以内ですので注意が必要です。
4. 遺産分割協議を行う(他の相続人がいる場合)
相続人調査の結果、他にも相続人がいる場合は、遺産分割協議を行います。協議がまとまった後は、全員の署名と実印を押印した遺産分割協議書を作成し、印鑑証明書も添付します。
5. 相続税の申告・納税
相続税が発生する場合は、相続開始を知った翌日から10カ月以内に申告と納税を行います。納税は基本的に現金一括納付が原則で、期限を過ぎると延滞税が発生するため注意が必要です。納付は税務署や金融機関、銀行、郵便局で行うことができます。
6. 預金解約や不動産の相続登記を行う
相続に伴う預金解約や不動産の相続登記を行う際は、以下の書類を金融機関や法務局に提出します。
【預金解約】
- 遺言書または遺産分割協議書
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍・除籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍
- 相続人全員の印鑑証明書
【相続登記】
- 遺言書または遺産分割協議書
- 登記申請書
- 不動産の登記事項証明書
- 不動産の固定資産評価証明書
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍・除籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 不動産を相続する人の住民票
- 相続人全員の現在の戸籍
- 相続人全員の印鑑証明書
不動産の相続登記は2024年4月1日から義務化されるため、早めの手続きをおすすめします。
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