破産者は遺産相続できる??注意点を弁護士が解説
破産者が遺産相続する場合の注意点とは?
自己破産した人が遺産相続をする際には、いくつかの注意点があります。条件次第では、破産者本人が遺産を受け取れないこともあります。この記事では、借金を抱えて破産を検討している人が遺産相続する場合の注意点について詳しく解説します。
1. 破産者が遺産相続できる条件
破産した人が遺産を相続できるかどうかは、「破産手続きの開始時期」に大きく依存します。
- 破産手続き開始決定前に相続が発生した場合、遺産は破産財産とみなされ、債権者に配当されます。
- 破産手続き開始決定後に相続が発生した場合、その遺産は「自由財産」として扱われ、破産者本人が受け取ることが可能です。
過去に破産経験があっても、破産手続き開始決定後に得た財産は基本的に本人のものとして扱われるため、遺産は没収されません。
2. 破産手続き開始決定前に相続が発生した場合
破産手続き開始決定前に相続が発生した場合、その遺産は破産財産として債権者に配当されます。この場合、破産者の手元に遺産を残すことは難しいです。
2-1. 遺産分割協議が終わっている場合
破産前に遺産分割協議が終わっている場合、破産者の手元に残っている財産はすべて債権者に配当されます。たとえば、破産者が300万円の預金を相続し、100万円を使用して200万円が残っていれば、その200万円は債権者に配当されます。手元に財産が残っていない場合は配当対象になりませんが、高額な財産を相続している場合、裁判所から使途の報告を求められる可能性があります。
2-2. 遺産分割協議が終わっていない場合
破産手続き開始決定前に相続が発生し、遺産分割協議がまだ終わっていない場合、破産者本人は遺産分割協議を進めることはできません。この場合、「破産管財人」が選任されて遺産分割協議を進行します。
3. 破産者の遺産分割協議の進め方
遺産分割協議前に破産が発生すると、その遺産は破産財産として取り扱われます。その手続きの流れは次のとおりです。
3-1. 法定相続分が破産者の財産となる
破産手続き中で遺産分割が未了の場合、破産者の法定相続分がその財産とみなされます。たとえば、3000万円の遺産を兄弟3人で分割する場合、破産者の法定相続分は1000万円です。この1000万円が破産者の財産となり、債権者に配当されます。
3-2. 破産管財人が遺産分割協議を行う
破産手続き開始決定後、破産者は財産管理権を失い、「破産管財人」が財産を管理します。遺産分割協議も破産管財人が行い、他の相続人と話し合いながら遺産の分配を決定します。
3-3. 管財事件になる可能性
破産者が遺産を相続する場合、「管財事件」として扱われる可能性が高くなります。管財事件になると、手続きが複雑で長期化し、予納金などの追加費用が発生します。
4. 破産による遺産相続の影響を避けるための方法
破産前に遺産分割協議が終わっていない場合、自己破産を申し立てると遺産が失われる可能性があります。このような不利益を避けるためには「相続放棄」が有効です。
相続放棄とは、 家庭裁判所に申述して、すべての遺産を相続しない手続きです。相続放棄すれば、相続人とは見なされなくなり、法定相続分を債権者に取られることもありません。
4-1. 相続放棄の期限
相続放棄には「相続開始を知ってから3カ月以内」という期限があります。この期限を過ぎると相続放棄は受け付けてもらえなくなるため、破産を検討している場合は早めに対応しましょう。
4-2. 遺産分割協議を行う場合の注意点
相続放棄の期限が切れた場合は、破産前に「遺産を一切相続しない」内容で遺産分割協議を行いましょう。ただし、破産直前に「債権者への配当を免れるため」として不当に見なされると、破産管財人から「否認」される可能性があります。そのため、自己判断で行動せず、弁護士に相談することをおすすめします。
5. まとめ:迷ったときは相続に詳しい弁護士に相談を
破産者が遺産相続をする際には、相続のタイミングや遺産分割協議の進め方など、多くの注意点があります。状況に応じて適切な対応をするためにも、迷ったときには相続問題に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
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