認知症の方がいる遺産分割
認知症の相続人は遺産分割ができないのか?
まず、遺産分割の際に重要な点は、お母様に意思能力があるかどうか、つまり判断能力があるかどうかです。遺産分割の話し合いに参加し、ご自身の意思を示すことができるかが鍵となります。
認知症の方の場合、一般的には、症状が進行して判断能力が失われる前に、ある程度の意思表示が可能であることもあります。しかし、進行度合いによっては意思能力が欠如していることも考えられますので、その点を慎重に確認する必要があります。
認知症の方の場合、判断力がまだあるうちに話し合いをすることが大切で、そうすれば問題なく合意に達することができる場合もあります。ただし、その時に本当に判断力があったのかどうかが、後から蒸し返される可能性がある点が厄介です。
たとえば、家族が円満な時に遺産分割の話し合いがうまくいったとしても、後になって状況が変わった場合に問題が生じることがあります。例えば、Aさんが不動産を相続し、その時の評価額に基づいて兄弟が相応の金額を受け取ったとします。しかし、数年後に市場が変動して不動産の価値が大きく下がった場合、Aさんが「これは不平等だった」と不満を抱くことがあり得ます。残念ながら、このような問題は後から発生する可能性があるのです。
何事もそうですが、今が良いからといって、それがずっと続くとは限りません。特に家族間で仲が良い時は、深く考えずに「これで大丈夫」と思いがちです。しかし、後々になって「あの時の記憶が曖昧だったのでは?」といった問題が浮上することがあります。そうなると、紛争が起きてしまいかねません。
そのため、法律的には、成年後見人をつけて、その方と一緒に話し合いを進めることで、後から問題を蒸し返されることを防ぐことが理想的です。ただし、実際には、後で問題になるケースはそれほど多くないため、そこまで対策を講じる方は少ないのが現状です。しかし、一部のケースでは、やはり揉め事が発生してしまいます。
ですから、私たち法律家としては、予防法務の観点から、後で問題が蒸し返されないような対策を講じることが重要だと考えています。具体的には、成年後見人をつけるか、意思能力がしっかりとあることを医師に確認してもらうなどの方法があります。これにより、後々問題が発生しにくくなるのです。
また、別の例としては、成年後見人をつけることで、お母様の財産管理が厳格になる点があります。たとえば、贈与税の対策として年間110万円以下の贈与を行う場合でも、成年後見人がついていると、財産を自由に動かすことが難しくなることがあります。そのため、慎重に判断する必要があるのです。
お客様のご状況によってご案内できることも異なります
このように、認知症になっている相続人がいると、全体のバランスを考えながら進めていく必要があります。しかし、これは非常に難しい問題です。比較的多いケースとしては、そのまま進めてしまい、遺産分割協議も「みんなが納得すればいい」という形で行われ、特に問題なく終わることが多いです。その場合は「無事に終わって良かったね」ということもよくあります。
ただ、私たちのところには、問題が起きた後で相談に来る方が多いため、全体的な割合がどうかは正直なところ分かりません。しかし、遺産分割で問題が起こる可能性があることを考慮して、慎重に対応することが大切です。お客様には、問題が発生しないよう、適切な手続きを踏んで遺産分割を進めることの重要性をぜひ理解していただきたいと思います。
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